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【クラウド化検討中の方向け】電帳簿保存法改正に合わせたシステム選定のポイント!

帳票電子化の流れ

電子帳簿保存法対応によって注目されている、帳票の電子データ化。当然、いつかやらねばと思いながらもなかなか対応できていないという企業様も多いのではないでしょうか?こうした法改正のタイミングは、これまで導入しきれなかったシステム導入を促す良い機会と捉えられます。
ITシステムベンダーとしては、お客様の運用面を熟慮し、現状のリソースにおいて適切なご提案をすることが強く求められるようになります。現場の業務を一番知っている事業者様と、正確な情報を元に、建設的な意見交換をしながらベストな対応を考えていきたいと思います。

つきましては、今回の記事では電子帳簿保存法の改正を踏まえ、「では自社ではどのようにシステム選定や運用切り替えをしたらいいのか?」という疑問を少しでも解消していただきたく存じます。

まずは、システム導入を考える上で当然の内容ですが、改めて電子帳票と紙の帳票の比較をまとめました。

帳票電子化

現場での業務に日々取り組む立場としては、特に閲覧・検索・編集作業をいつでもどこでも行えるというのは非常に仕事がやりやすくなり、出先で情報が分からない…というストレスに苛まれることも無くなるので、現場目線で非常に大きなメリットだといえます。クラウドストレージのURLで共有して見てもらったり、クラウド上で共同編集したり、チャットで資料を送付したり…と周りが同じようにしてくれたら早いのに、というようなことはよくあります。

もちろん各社のコスト面、運用面、あるいはセキュリティ面から懸念点や課題があり、システム化が簡単にできないという声は多くあると思いますので、対応を考えていきます。

改正電子帳簿保存法の論点

このような電子化の流れがある中で、法改正によりどの企業でも対応しなければならない状況になりました。2022年1月に改正電子帳簿保存法が施行され、2022年と2023年は宥恕措置(猶予)の2年間となります。しかし、2024年1月からは保存要件が義務化となります。システムの導入には、要件定義から始まり、データの移行や運用の定着まで、ある一定の期間を要します。仮にシステムを導入しない対応を選択したとしても、保存要件に沿った環境の整備や運用の変更が発生しますので、いずれにしても早い段階から対策・準備を進めておくべきといえます。

「データ保管」の面では、現在電子帳簿保存法の対応に多くの事業者が取り組んでおられると思います。やはり外せないこの保存要件について見ていきたいと思いますが、まず電子保存には3つの方法があります。

<電子保存の3つの方法>
1.電子帳簿保存
自社で作成したPC内にあるものを印刷せずにデータのまま保存することをいいます。例えば、会計システム内で作られる損益計算書や貸借対照表を印刷せず、データのまま保存する方法です。この保存方法は、帳簿や決算書類に対して用いられます。

2.スキャナ保存
紙で受け取った書類やPCで作成して印刷した書類をスキャンしてデータでの保存することを指します。受け取った領収書をスキャンしたり、スマホで撮影して保存する場合はこちらに該当します。この保存方法は、注文書や請求書など物理的に紙で受領した取引関係書類に対して用いられます。

3.電子取引保存
インターネットやシステムなどを通じて取引を行い、データで受取った情報を保存することをいいます。例えば、出張の時に新幹線をネットで予約し、領収書をPDFなどの電子データで受け取ったという場合です。この電子取引は、メールで受け取った注文書や請求書などの取引関係書類も該当するので注意が必要です。

このように、電子帳簿保存法には3つの保存方法が定められています。国税関係帳簿書類の種類とこの3つの保存方法の組み合わせで要件が決まりますので、注意が必要です。
そして今回ここでは、特に現場業務での対応を考えるために、上記「2.スキャナ保存」「3.電子取引保存」に関する保管方法について、法改正による保存要件と併せて対応方法を確認してまいります。

それぞれの要件に対し、自社ではどのように対応できるか、そのためにシステムの活用をするのか、運用で解決させるのかという判断をする必要があります。

「スキャナ保存」制度の要件緩和

前述の「2.スキャナ保存」制度の要件緩和について、こちらは大きく4つあります。郵送やFAXなど、物理的に「紙」で受領した書類をスキャナで電子化して保存する際の要件ということになります。

①事前承認が不要に
スキャナ保存のために必要だった税務署長の事前承認が不要になります。

②タイムスタンプ要件や検索要件が緩和
タイムスタンプ付与までの期間の延長やタイムスタンプを付与しない運用も可能になります。
検索項目は「日付」「金額」「取引先」の3つになります。

③適正事務処理要件が廃止に
「紙の原本との照合」「事務処理担当者の複数名確保」「定期検査までの紙の原本の保管」などが不要となります。

④データ不正時の重加算税10%
各要件が緩和された一方で、スキャナ保存を正しくできていない場合の罰則が厳しくなります。

上記のようなスキャナ保存制度に対応したサービスを利用し、スキャナ保存規定や事務処理マニュアルの整備が必要です。

国税庁のホームページには、「スキャナによる電子化保存規程」などの各主規定のサンプルも置いてあります。是非ご参考にされてください。
※国税庁 各種規定等のサンプル
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm(国税庁HPにページ遷移します。)

このように、国として帳票の電子化を進めるためにも、スキャナ保存に関しては緩い要件にし、紙の削減を促しているのです。

「電子取引保存」制度の要件

前述の「3.電子取引保存」の要件も大きく4つあります。法律に順守した事業継続のためには、以下の1~4の全てをクリアする必要があります。
以下に4つの保存要件の流れをまとめました。

電子保存のポイント

「電子取引」は、電子メールやインターネット上からのダウンロードなどから、電子的に受領した書類を保存する際の要件ということになります。

1.関係書類の備え付け
流れに沿って見ていくと、まず対応の確認をするべきは「1.関係書類の備え付け」です。

関係書類の備え付け

システムの概要を記載した書類(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けてください。導入元のシステムベンダーに確認しましょう。

2.見読性の確保
次に、「見読性の確保」となります。対象の電子データについて、すぐに検索して確認ができるような状態を作るということです。

見読性の確保

保存しているデータを速やかに出力できるよう、PCとモニターを備え付けてください。これは一般的なオフィスでの業務を行う環境が既にあれば、基本的にはご用意いただけているかと思います。

3.検索機能の確保
次に2.で検索する際の要件として、「3.検索機能の確保」となります。
検索機能の確保

以下の3つの条件をクリアする方法で対応が必要となります。

■①日付 ②金額 ③取引先 の3項目で検索ができること
■①日付 ②金額は、範囲を指定して検索ができること
■2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて、検索条件を設定できること

※3つの条件をクリアするために、以下の3つの対応方法でいずれかを選択することをおすすめします。A、Bはシステムを利用せずに対応する方法です。

3-A:ダウンロード可能な状態にしてファイル名で運用する
ファイル名の例:20220125_(株)福岡情報ビジネスセンター_110000.pdf

3-B:索引簿を作成して検索に対応する
ファイルと関連付けて検索できる状態にする

3-C:検索要件に対応したシステムを利用する
3つの検索項目(日付・金額・取引先)の入力が条件

4.保存上の措置
4つ目に、「保存上の措置」となります。
保存上の措置

※以下4つの対応方法でいずれかを選択します。しかし、現実的に難しい対応方法もあるため、実現可能性を踏まえて対応方法を選定することが重要となります。

4-A:タイムスタンプが付与された書類の受領
→送信側すべての取引先からタイムスタンプを付与してもらうのは現実的に難しい…

4-B:タイムスタンプの付与
→自社と異なるシステムでタイムスタンプを押されたPDFを受け取った時、自社でタイムスタンプ押せないなど問題が残る。

4-C:訂正削除の記録が残る/訂正削除ができないシステムの利用
→OKだが、電子メールやWebサイトからDLする場合は、人の手を介さずに連携する必要があるので注意。

4-D:訂正削除の防止に関する事務処理規定の備え付け
→タイムスタンプ付与のような期限の制限はない。自社に合わせた事務処理規定を作成すればOK。

「スキャナ保存制度」と同様に、国税庁のホームページには、「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」などの電子取引に関する各主規定のサンプルも置いてあります。是非ご参考にされてください。
※国税庁 各種規定等のサンプル
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm(国税庁HPにページ遷移します。)

自社はどのパターンか?

上記の対応策を踏まえて、自社はどのパターンに当たり、どのような対応を選択すればよいか見ていきましょう。

まずどの企業様でも、「1.関係書類の備え付け」「2.見読性の確保」については上記の通り、各所でご準備いただければ対応可能かと思います。

そして「3.検索機能の確保」「4.保存上の措置」については、対応する際大きく2パターンに分けられると考えています。まずは自社が、大きく分けた2パターンの内どちらに該当するか、判断いただけると分かりやすいかと思います。

 

パターン1:書類を扱う担当者が少人数で、運用ルールが徹底できる場合

このパターンにおいては、システムを導入しない運用でも対応は可能と考えられます。
「3.検索機能の確保」については、以下3-Aで対応!

3-A:ダウンロード可能な状態にしてファイル名で運用する
ファイル名の例:20220125_(株)福岡情報ビジネスセンター_110000.pdf

 

「4.保存上の措置」については、以下4-Dで対応!

4-D:訂正削除の防止に関する事務処理規定の備え付け
→タイムスタンプ付与のような期限の制限はない。自社に合わせた事務処理規定を作成すればOK。

 

パターン2:書類を扱う担当者が一定数以上いて、運用ルールの徹底が難しい場合

このパターンにおいては、システムの導入が必要になってくると考えられます。
「3.検索機能の確保」については、以下3-Cで対応!

3-C:検索要件に対応したシステムを利用する
3つの検索項目(日付・金額・取引先)の入力が条件

 

「4.保存上の措置」については、以下4-Cで対応!

4-C:訂正削除の記録が残る/訂正削除ができないシステムの利用
→OKだが、電子メールやWebサイトからDLする場合は、人の手を介さずに連携する必要があるので注意。

上記のように、パターンに合わせて対応方法を決めていくことがおすすめです。
以下の4つの流れを全てクリアしましょう!
電子保存のポイント

電子帳簿保存対応システム 選定の6つのポイント

上記の判断をいただいた上で、システム導入に踏み切ろう!という方へ、システム選定の6つのポイントをまとめます。

①取込
自社が利用したい取込み方法に対応できるか?
例)ファイルを選択してアップロード、メール転送、クラウドストレージ連携、チャットから転送

②入力
運用に必要な項目の入力が徹底できるか?
例)「入力の必須チェック」「オペレーターに検索項目の入力まで対応してもらいたい」

③履歴
入力時や変更時の運用に必要な変更・確認の履歴が残せるか?
例)「簡易的な確認者を設定したい」「本格的なワークフローを設定したい」

④検索
「検索機能の確保」の要件を満たせているか

⑤出力
他の運用方法、あるいは他のシステムへの移行に必要なデータを出力できるか?
※出力できない場合、法定保存期間(7年~10年)の間、同じシステムを使い続ける必要がある

⑥費用
システムの契約料や利用料がどれくらいかかるか?
運用と合わせて、投資対効果を見ることが重要

いかがでしたでしょうか?
電子帳簿保存法に対応して適切にシステム導入を進める上で、「自社ではどう考えるべきか?」の参考になっていましたら幸いです。

最後に、当サイト「SaaS Bank」でご紹介しているソリューションをご案内いたします。

クラウドストレージでの対応

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WEB帳票発行システムでの対応

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文書管理システムでの対応

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